読書会
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年数回、Kotonoha読書会を実施しています。読書会を重ねるごとに、それぞれが今まで過ごしてきた経験、環境などによって、異なる意見・感想を持つことがわかります。一人で読むだけでなく、参加者と一緒に思いをシェアしませんか。有料:1,100円〜(生徒・学生・留学生は無料)
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006 『運転者』喜多川泰
「私は運が悪い...」と、呟いてしまうことありませんか?主人公の修一は、「自分はついていない」と日々苦悩しています。そんなある日、修一の前に一台のタクシーがとまります。それは「運」を「転」ずるという不思議なタクシー。
読書会では「運」について、参加者のエピソードからいろいろと考える機会を得ました。「運」って、文字通り、運び、運ばれるものだと思ったし、自分や誰かの温かい思いによって、貯まり、巡り、使われていくものだと思いました。温かく深い時間でした。(2023.10.14) -
005 『隣人のあなた』安田菜津紀
日本社会における移民の問題をみつめた本。今回は、この中でもウィシュマ・サンダマリさんをテーマに著者安田さんをお招きして、対面で読書会を開催しました。
読書会では、大きな主語で括られた「不法滞在者」ではなく、ひとりひとりの人生や事情を抱えて生きている「隣人」としてどう向き合うのか、対話を通じて考えました。参加者からは「いかに隣人に対して無関心で無知のまま生きてきたかを身にしみて感じました」「人権について私たちはもっと知る必要があると思いました」などの意見が聞かれました。詳しくは「イベント」のページで。(2023.7.2) - 2022
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004 『クリスマス・キャロル』ディケンズ
19世紀半ばのロンドン。冷酷でけちな老人スクルージの前に、3人の幽霊があらわれます。現在、過去、未来を幽霊とめぐるスクルージは、目の前に広がる光景に心を揺さぶられ、人生を見つめ直していきます。
傲慢なスクルージが、なぜ、生まれ変われたのか。どの回もこのテーマが話題になりました。ある人は、第三の幽霊は「沈黙」の幽霊。沈黙だからこそ、自分で気づく必要がある、つまり「自分で気づかないと変われない」とお話ししてくれました。ある人は、人間は一度では変われないけど、自分が変わることで相手も環境も少しずつ変わる。フィードバックを繰り返しながら数年後大きく変わっていることはあると、言っていました。今回も参加者の経験や年齢によっても視点が異なり、多くの気づきがありました。(2022.11.23/12.18) -
003 『コンビニ人間』村田沙耶香
幼少期から「変わっている」と言わる古倉さん、そんな彼女が唯一イキイキと過ごせる場が「完璧なマニュアル」があるコンビニ。「普通」とは何か?を考えさせられる作品。
3回読書会を開催しましたが、全てが異なり、多様な意見が飛び交いました。それほど、読む人によって違う感想や着眼点をもつ小説でした。「『普通』は自分ではなく他者基準で決まる」「私も周りに対して『使える道具』になるための選択をしている」「自分と違う人に出会った時、その人のことを理解するのをあきらめる事がある」「相手のことを愛をもって想像したい。そのためには対話が必要」などの意見がありました。社会や人生、生き方について、対話することの大切さを深く考えさせられる時間でした。(2022.8.20/8.22/9.4) -
002 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ
アイルランドのお父さん、日本のお母さんを持つ12歳の息子「ぼく」が、英国の「元底辺中学校」で起きる様々な出来事を通して、悩みながら成長していくお話し(ノンフィクション)。
読書会では、「無知」「差別」「違い」「環境」そんな言葉がキーワードになりました。「人と人との間には必ず「違い」がある。その差こそが人間だと思うので、違いを大切にしたい。」「自分と他者の違いを対話を通じて、心地よい時間のなかで気づいていけると良いと思う。」「子どもが云々より、大人が優劣をつけたり、偏見のラベルをはることで、それが子どもに伝わるんだと思う。」「「子どものために」と考えている人が多い。でも、そのベースに大人(親、教師)の価値観や考えがあることに注意を払いながら行動したり考えたりしたい。」など、深い意見が飛び交いました。参加者らは、「対話」を通じて、相手との違いや差に気づき、それを認め合い、発見し合う喜びを大切にしたいと語っていました。(2022.5.21/5.22) -
001 『八月の銀の雪』伊与原新
就活中の大学生、子育て中のシングルマザー等が、悩みを抱え迷いながらも前を向いて進んでいく5つの短編集。主人公たちは、地球の奥深く、海の中、小さな小さな世界、そんな自然を前にして、自分の殻を破り前を向き、1歩を踏み出していきます。
「人間の中身も、層構造のようなものだ。地球と同じように。」
参加者は、著書の言葉を引きながら、「対話を重ねることで相手がみえてくるね」「いろんなことあるけれど前を向いて歩けるって強いと思う」など、この物語を通して見つけた優しい気持ちを共有しました。(2022.3.6)